黄土色の塔の時間割り なぜ広場は波際の痛点に 沈められたまま帰らぬのか リトマス紙の苦い反照 なぜ山頂の濡れた展望台は 河山近くから寄せる空腹を嗅ぐのか 転げる 転げる 凝結の羅針盤を 映す幻の童顔 春だよ 春だよ アメジストの犬啼岬 蒼天の沐浴の湖 屹立の魚 泡 砂あらし シナモンの喉ぼとけ 縞ばしら 日の埋め土 指繰り 磁気あらし 逆流する滑石の 畑に潤う旋極の破裂音 舐るように胡瓜を摘んでゆくと 溶岩の噴出する海底住居を 焦し出して海藻の赤い舌で 言葉の球体を片目に貼りつけ 白い尖光 宇宙の石炭袋の支える 星の囚人列車の跡なく 重い矮星の 撞きばめられる 恐怖の戦慄を からめとる おお 春の街だよ 夜の涯 閉じ眼を剥いで 下垂体まで貫いて 再び死体のふりして 不可知論を唱えてみる