連載【第056回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare I: 〈advertising〉

 nightmare I

 〈advertising〉
 空に突き出たスカイスクレイパーをつなぐ槍型モノレール、大気圏外までカプセル席のまま昇降するエレベーター。色とりどりの透明フードを反射させながら、人々は各階のテラスに張り出された乗降口から高層ビルの中に吸い込まれる。 続きを読む

連載【第053回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: conflicting similarities

 conflicting similarities

――層状宇宙。
 宇宙面を球体の表面になぞらえたとき、この球面が重層しているとすれば、重なるような形で膜状宇宙が複数、波のようにゆらめいて存在しているというイメージが浮かぶ。物質の発生が、真空のゆらぎから物質・反物質の量子過程を経るとするなら、この高エネルギー状態の真空がその前提にあると考えることは無理なことではない。
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連載【第052回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: tubulin 2

 tubulin 2
――ある思考実験。
 チューブリン(微小管細胞)の次元イメージ。(次元f(x))、回路の切断面。
 マイクロチューブルの次元イメージf(x)をそれぞれの回路の切断面とする。チューブルは管であるから、穴という内部の範囲がある。
 ニューロンのチューブリンから次元同士の接地面イメージ。
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連載【第051回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: tubulin 1

 tubulin 1
 素粒子が磁気嵐の中で散乱していく。存在はスライスされていく。反粒子と反存在が散乱しながら充満する。エントロピーとはこれら双方向性についてのそれぞれの見方ともいえる。見方自体が宇宙の内容物を満たしているのだ。
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