――父が面会にこないのはぼくはそれなりに分かりますし、それが父の闘いだと思っています
――森恒夫「吉野雅邦宛書簡」より
――森恒夫「吉野雅邦宛書簡」より
パダーンの葬列
焦げる海
紅いろに蝕む カーク島
I、沈黙の塔
死の憑く
舌から迸る棘
鳥の黝い群が
岩壁の巣に
褐色の
肉片
を
貯える
巨石の尖塔から
青い羊が転落する
パオマ酒
……永劫の陶酔
王女ハイアンの十三ヶ月
涸れる 生が涸れ
死の醗酵が並びだす
拇指に薄く冠る百合の
乾いた花弁の
溶ける 匂いが
積み上げられる 河を
渡る 断食者の首から
七二本の糸を縒りあわせた コスティの
結び目が観察していた