ふしぎな植物のそばに近寄ろうとして。
うっそうとしたしげみからわきでる、まいあがるもの。午後の陽光をうけ。
銀色のひかりをたたえた蝶が。中空でまばゆくかがやき。
うわさどおり、銀色にきらめき、ひかりにつつまれた羽をひらひらさせ、沼の上をまわり。
おおがたの蝶があたまをかすめて、うすい二枚の羽が太陽をさえぎったとき。
羽をすかしたひかりが紫色に偏光し。蝶はからすあげはの仲間ではないかと考え。
誘いかけるようなしぐさをみせて。旋回をくりかえす蝶。空中からゆらゆら舞い降りて。ひかりをおびた銀色の羽をしずかにたたみ。
きみょうな植物の突起にとまり。
わたしは。はやるきもちをおさえ。いちめんにはえた雑草をふみわけて。
松の根方からはあおくさいにおいがたちのぼり。とびあがろうとする寸前の銀色の蝶めがけ。捕虫網のしろい尾をはためかせ、ふりおろす。
ささの葉がかわいた音をたてて。宙をとぶ。
わたしは蝶ののがれた形跡がないのをたしかめ。あみを水平にふり。ながいふくろをくねらせてから。
くさのうえになげだして。
みねをつたい、かっこうの鳴き声がひびき。ふくろのなかにはきみょうな植物もとらわれ。
わたしは蝶をつまみだしたが。