(こわれゆくもののかたちシリーズ) 銀色の蝶

 はだかのはだがみょうな違和感につつまれているような。はげしいじんましんにおそわれているみたいに。ふくらはぎやわきばらをくすぐるえたいのしれないいきものが。水の中に無数にひそんでいるのではないかと。
 いそいで沼からはいあがると。わたしはくさはらをくるったようにころげまわり。
 どろにまみれたはだかに、濃緑のしるがしみこんで。
 ざっそうのなかにはうすいにこげをはやし。はしがかみそりのようにするどいくさがまじって。
 きがつくと。からだのあちこちにきりきずができ。
 うすく血がにじみでて。

 まつばやしをはずれたわきにちいさな畑が。いっかくに、たまねぎやえんどうに給水するための水道管がひかれて。木のくいにじゃぐちをくくりつけただけの簡素なもの。
 わたしはそこでよごれたからだと衣服を洗い。
 捕虫網をほうりだしたところにもどり。ぬれた服をくさのうえにひろげ。まつの木のしたでねころがる。
 青空がきらきらかがやくひかりのせいでひびわれてゆく。

 しろい網の中にのこされているきかいな植物をとりだし。ひんやりとつめたく。肉穂花序のようにぶつぶつして。ヤングコーンをせんさいにしたやわらかさ。
 あおじろいとおもっていたが、てにとるとほんのりきみがかって。はなをすりよせると。あまいにおいがして。
 脳のしんがぐるぐるまわるような感覚にとらわれ。