小品 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

 凧糸
火が渦巻の如く 夜のそこかしこを噴出す
る 蒼褪めた奴の死体が真逆様に翔び抜ける
凧の如く糸を空になじませ 《極》の支柱に
由い手袋を叩きつける どうだ!
頭脳明晰なる諸氏には あ奴が足指を互いに
一本の白い糸により繋がれた双生児であるこ
とに思い至られるであろう 絶壁から
眺た棘々しくも華麗なる森林への一歩こそ
紛れもなく世紀の欲望に充ちていることを