小品 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974) 投稿日時: 2013/12/15 投稿者: 緑字斎 雷鳥 血を分けた兄弟 から電報が胸に差し 込まれる ふと思いあぐねて 見 知らぬ住宅地でわけもわからず 振り 返っている電信柱が 地響き をたて て闇に発射される それから小踊りして 眼と眼が合う兄弟が知らぬ素振りで散歩道を 駈け抜ける 笑い声が異常な事態に面して空全体に 映し出される 肉親を殺害した男は緋色のマ ントを小気味よく覆えして 街路樹の中を透き通っていく ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8