小品 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

 暁の声
夜がその独特の顔を覆えしながら 蒼白な
朝がその異様な下着をちらつかせる
銃声が間断なく時を追跡して 気ままに
その糸を吐く その頃河底を舐める植物
の溶解した触手が交錯してちぎれる水葬
者の首が鋭い渦を呼び込んでいる
それらを結ぶ極彩色の花壇が網目を拡げつつ
千億の瞳孔で被写体を呑み込む
黄金の雲が人型をして
地平線を 翔せ上っていく
幕が降りるのは この時の開始による