ぞくりとする対面 一本の刃物 一本の光
胃に落ちる香水 糸のごとき蝋涙
筋肉が握る弓 花束の中の仮面
(ハワイ篇)
砂に眠るハナウマ・ベイに虹色の魚棲めり
惑ふべし ダイヤモンド・ヘッドの断崖の暑さよ
バックミラーに逆側から迫り来る後ろの海
三百六十度の海 水平線が光に烟り 蛍光ピンクの帆がとどまれり
頭の赤い鳥 猛禽的な雀、白い鳩 虫がいない島
雲の速度で季節を凝縮したビーチの向かうの軍事基地
球体の嘘が珊瑚礁の断崖といふ幻想にうちのめされる
肉体のエクササイズに老人も騙されてをる日盛り
色彩の重力 太陽の沈む浜辺に落ちるダークネス