旧作:197403: 魔の満月 第二部(習作)

東方巡礼者。音波探知器。馬具。踵に毛の生えた動物が、紙のように揺らめく建物が、制限された天体が、述べはじめる。
ひからびる不躾さ。陽気な崖から、続々と立ち直る不正。工芸品の数々、とりわけ壷の部類などの、爆発。
というわけで、それは広大な原野に小さなそれを置き、酒場という酒場にそれをなげかけ賭博場の隅でぎらぎら光るそれをつかみそこね、松明に照らされる殉死者の得意満面に唾吐き、それが能う限りの。
とんでもない。値段表が欠落している星座。袋詰めの脚。隣接地域の扉は音もなく擦り抜けられている。
まら。寄宿舎の屋上に新聞広告が掲載されている。裏通りには変死体。遠心力で客船が見事に沈没する。
腹上死。言外のこと。不断のこと。聖体拝授の儀。刻限を守って励行される鉄棒運動には首のない肉体が供される。
おかま。妣が大陸。規則正しい学習。原始林とその運河はさらなる野望をもつとして、獣ならば影を置き忘れる。
冒険大旅行。(好きものの嫌い漬け)。悪意を存分に浴びて、姑息な信仰者が夜毎の、ある誘いを心待ちにしている。
杏の木に刻される、小舎の設計法。
氷河期。おびただしい架空。綱は緑の芝で編まれ、結び目ごとに現代的食器が吊られてはいる。
音楽。暦が抜けだす。用具は整理され、室内には何もない。部屋さえも。魂などという通行人が食らっているのだ。
壷、目印に手首をぶら下げる。山道。頁。空を分けて木材の軌道が敷かれる。海岸線に抱きついている語も、また。
手拍子。椅子。眼張り。弱音器。なだらかな闇の梯子からこぼれる疲労感。手記には、とどめられた傷口が膿んでいる。
化石の、密林の封じ込める、羅針盤。
脳髄の漂泊。壜。際限ない景色。そのためにか、誰知れぬ拡張が高い代価を支払い、また告訴状をも受け取ったりして。
表白。なんとか。どうにも。からきし。けっして。はあ。そこのところ。ちょっとでも。いいや。まさかのことでも。
谷間から、愛が、百合が、亡命が。
あらゆる幻崖の透視体が、過去の霊体を察知している歴史の、あらゆる領域をすういんぐしている。
交尾。不断の下痢症状。永遠する嘔吐。亡失。文章をららつかせる書物。切って落とされた天体が細分化されてゆく。