死面。子供たらの頭にあるのは、飛行機だとか、建物だとか、武器だとか、あるいは言い伝えにある、不吉な玩具。
色事。墳墓。仕掛けのある空箱。鏡のもっとも手前にある、気違い。棘々しい月の夜は、珍しくも、めくられている。
直立猿人。超大な構想。火山帯を潤ませる激しい雪。高速道から読み取るのは、日付。なに気のない邪悪さ。
生きている、いや死んでいる。変圧作用。
太鼓腹。過疎の村。未開の都市。あわただしい鳥類の逃亡の後に、夜を引き摺る百虫の王たち。
瘠せる胸。反転しながら転がる反転。虹の両端に健やかな童子はいるか。照明係がちょっとしたはずみでとろけだす。
屋根裏の村。製図。眼底。数枚の王国がいちどにばらりと消去される。廊下には、公園の夜が待機して。
毒の舌。あれが離れてゆく。華やかな街に出没する聖体。方策。綴り方。説明するのは容易ではないが、が壊れてゆく。
家畜どもの、喉元の、樹皮。
一九七四年二月?三月
(初出 詩誌『あすか』第5号/昭和50年5月刊/発行者・汐田花衛 1975)
[作成時期] 1974/03