“終りは始められここより初めは始められる ぬかるみのこの季この丘は栄えある眷族の激動の嵐のために
輪廻の絆ともいうべきこの祝詞は果ても知れぬ神の代より引き継がれ 王の逞しい首には以前に流通させようと企んで頓挫したポッパーの金貨が罪の輝きをもって揺れている
叡智に充ちた眉間の広場また催眠の大通りは若く馨しい雌雄の高い鬨の声にわきかえっている
儀式はアルカナのまま七色に変幻する優しい叢の中で続けられる
ボウが神の光を浴びて嫋やかな茵をつくると その中に横たわる娘の七色の光沢をもつ髪はボウの魔力によっていっそう美事なものになり 娘はその長い柔らかな繊維を燦々たる陽光に靡かせ 惜し気もなく白い裸体を開き 聡明な水晶の眼を輝かせる
オルリー公の愛玩しているそれぞれ毛色の異なった七匹の猫が上気した深い緑の眼を大きく開いて進み寄る
ボウの七色の波がさわさわと揺れ始めると その奥の方からたたたたたたと次第に速度を増してゆく煽情的な原始のリズムが拡がる
王家の指環を管理するように長い尾をぴいんと突き立てて歩み寄る牝猫どもは 尻と口から甘酸っぱい匂いを撒く粘液をしたたらせている
そうして一斉に白い腕の娘の柔らかな中枢へ赤く怒張させた舌をぶらさげて挑みかかるのである
生後十七日目の幼児を盗んで人形ごっこやボール投げに用いたりままごとの材料にしたりした三歳の女の子のように温かな母の夢をみる
これは母性の夢の形象また花売りに女装して母親の営む酒場を訪れるトルソーだ
カランチョや狐や有翼のスフィンクスに混じって巨大な尻を揺すりながら 聖地の一方の守護者である真っ黒な象が灰色の牙を天に突き上げる
そのときオルリー公の屈強な七人の従者が大樽に封入されている秘薬を 口腔といわず眼孔といわず長い鼻の通路といわず尻の穴も含めてあらゆる襞の奥にぶちまける
おおどうだ
つぶらな瞳がいっそう優しく潤み 白い腕の娘の頭上に何ともいえぬ不思議な匂いを落として すでに大きく口を開けている母なる象の女陰がかの娘を呑み込もうと誘っているのである
誘惑の作法に則って激しく脈動する血節を腫れ上がらせた華奢な娘の首が 二つに割れた固い岩の柔らかな芯に吸い込まれてゆく