小品 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974) 投稿日時: 2013/12/15 投稿者: 緑字斎 首どもの鎮魂 黒白の穴 とその 夜を一点によって染め返す白鳥の 化けた牝牛の如く 《火素》 が 粉々にすベり込む 死は見事なる醜悪の 枯草たるか 池・湖こそ続々と火だるま 柔和な眼尻こそ粘膜で羽撃きその薄皮に 鮮明な首どものぞくぞくする寒さ 言葉の 交わりをうまい具合に輝く地平線に乾燥す る黒色の穴がのしかかる 静脈の如き夜の 流浪が悪意をつぎ足していくと背筋から双 頭の嬰児が顔を出す 陰画に映らないその首ども とその 黒白の毛並が 夜を一直線に剥き出しにし得 るか ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8