小品 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

 首どもの鎮魂
黒白の穴 とその
夜を一点によって染め返す白鳥の
化けた牝牛の如く 《火素》 が
粉々にすベり込む 死は見事なる醜悪の
枯草たるか 池・湖こそ続々と火だるま
柔和な眼尻こそ粘膜で羽撃きその薄皮に
鮮明な首どものぞくぞくする寒さ 言葉の
交わりをうまい具合に輝く地平線に乾燥す
る黒色の穴がのしかかる 静脈の如き夜の
流浪が悪意をつぎ足していくと背筋から双
頭の嬰児が顔を出す
陰画に映らないその首ども とその
黒白の毛並が 夜を一直線に剥き出しにし得
るか