句集 睡りつづけるものらよ
――1995年 父の看病日誌より
六月三十日
この闘ひ 送るべきは讃辞のみなり
生きてゐる限りは真実の命なり
七月一日
夢の話す夢は夢ではない
七月四日
起きてゐることも眠つてゐることもそのまま
七月五日
指の動きに指の夢あり
七月六日
光の届いてゐるに違ひない父の寐床
生命の破片を紡ぐ完璧な世界、魂は凝縮する
七月七日
夢の断片の持続、接続
無限の超論理