[資料] アピール! 天安門事件: 03(中国人活動家・著)

●Date : 1:19pm 10/14/89 From : pcs00372 (直江屋緑字斎)

中南海上層部争いの真相――戒厳にいたるまでの激闘

 3 書記長・李錫銘の「四・二四」奏請報告
 四月二十四日、北京市党委員会は中国共産党中央委員会に「奏請報告」を奉った。それは北京市党委員会書記・李錫銘が自ら推敲したものである。大学生の大字報、スローガンなどから丹念に選び出した文言で巧みに綴り、さらに三月以来の尾行、隠しカメラ、隠しマイク、誘導訊問で得られたものと、デッチ上げで作り上げた人物、事件と言論を織り込んだものである。
 この報告は、学生運動には「四種類の人物が参加し、四種の目的と四通りの悪質さの可能性がある」と説明し、それは実に二年間あたためられ、下準備を経た、組織的、計画的、謀略的に中国共産党の指導を否定し、社会主義制度を否定しようとする動乱であると決めつけた。中には、「胡耀邦同志の再評価を求めることは胡耀邦同志をを肯定し、鄧小平同志を否定することではあるまいか」というような極端な断定もところどころにある。同報告には「中央が政策さえ出してくだされば、われわれはいくらでも解決の方法を持っている」とまで書いた。
 同報告は出されたその日の夕方、政治局常務委員会会議の討論にかけられた。楊尚昆も会議に参列し、常務委員会メンバーと一緒に李錫銘の報告書を討論した。今度の学生運動については「組織的、計画的、謀略的に中国共産党反対、社会主義に反対する行動である」と、彼らは認識を一致し、楊尚昆を含めた出席者全員が翌日の午前中、鄧小平に政治局で討論した結果を報告することに決めた。
 翌日、午前十時、鄧小平は報告を聴取し、「四・二五」発言をした。彼は今度の学生運動を「謀略的で、組織的に十分に準備の整った反共産党、反社会主義制度の動乱である」と決め、「旗印を鮮明にして、この動乱に反対し、制止をしなければならない」と言い、「おれは国際影響など全然気にしない。何十年も罵られてきたじゃないか。おれには三百万の軍隊がついている」と豪語した。そして、今度の動乱の発生原因は「ブルジョアの思想汚物の排除」と「資本主義反対」をあまり徹底的におしすすめなかったことにあると言い、さらに「インフレについて、胡耀邦には責任がある。あいつの出した二ケタの成長に従ってやったら、事態はさらに悪化するに違いない」と八つ当たりし、十日ほど前に亡くなった胡耀邦にも毒づいた。それから、学生の後ろに隠れている「黒幕」を摘発するように指示した。さらにその場で、胡啓立に社説の用意を命じた。