見夢録: 2016年08月01日-31日

■2016年08月21日 13:57
【かけら】
(Antonioniについての覚書)
――『夜』

けれども、アントニオーニの画面は、モノクロのすばらしい効果を伴って、実に空虚で物悲しく、乾いていて、情感に流されない作品全体の硬質性を確保している。

2016年08月21日 23:08
【かけら】
(Antonioniについての覚書)
――『夜』

ジャンヌ・モローの自らの失われた愛を確認する彷徨は、『死刑台のエレベーター』での彷徨につながっているし、だいたいにしてジャンヌ・モローという女優は気難しさのために、どんどん事態を悪化させていくという役柄を、じつに魅力的にこなしていくのに長けているのかもしれない。ジャズが効果的なのも、ルイ・マルによる映画を意識してのものだろう。

■2016年08月22日 10:20
【かけら】
(Antonioniについての覚書)
――『夜』

監督のいつも起用する当代の美男美女のひとり、マルチェロ・マストロヤンニは自分を見つめることのできないだめ男のパターンをうまくこなしている。
それにしても、労働者階級の居住地域の風景画面は、いつもながらすばらしいと思う。

2016年08月22日 11:19
【かけら】
Akira Kamita, acrylic, F6, 2015.4.30, K.L.
Heliconid Rostrata, Akira Kamita, acrylic, F6, 2015.4.30, K.L.
⇒Works

■2016年08月23日 13:36
【かけら】
(Antonioniについての覚書)
――『欲望』

不快であるけれど、魅力的な男。自分の中にある権力的な願望と同期するとでも。
商品化された女たち。コマーシャルな時代を受け容れる姿勢ということか。
事件の痕跡は消去される。求めていたものが空虚であることの表示として。

2016年08月23日 23:32
【かけら】
(Antonioniについての覚書)
――『欲望』

友人の恋人との不倫の匂い。
アントニオーニの男女関係はつねに不倫との距離である。両者ともその距離で流れていくというのが、どうも根底にあるようだ。
見えないテニスボール。見えないゲームに参加する。実体がなくても解放されるのか。つまり、空虚さが。