人間て、すげーと思わせてくれるところがある。ダンスには。
いいことをしたとか、
人類に役に立つことをしたとか
記録を作ったとか
発明をしたとか
そんなことではなく
「人間ってすげー」とダンスを見ていて
思う時がある。
運動神経、身体能力、抜群のすごい動きを見ても、そうは思わない。
猿が星空を見ながら、泣いている
そういう心がざわめくようなものを、切り取るのが
人間とは、なんと凄いものだと思う。
他の動物にはないだろう。
一つの動きやポーズに、なんどもダメ出しをして、
動きやラインや間やリズムを求めていく。
そんな動物はいないだろう。
「美しさ」という価値観で、物事を見るということが、
人間って、すげーと思う。
美しさも、いろいろある。
静的な美しさもあれば、荒ぶる美しさもある。
醜さの中の美しさもある。
方向性はたくさんある。
美しさの方向性に共感して、理解したときに
美しさを共有できる喜びがある。
おそらく、マニアックであればあるほど、喜びは大きいのではないだろうか。
ダンスは、「星空を見て泣いている猿は美しい」という提示をしたのではないだろうかと思う。
手本は、いわゆる「乗り換え案内」みたいなもので、
実際に辿る自分のリアリティは、別だし、逸脱こそ、大事ではないだろうか。
「乗り換え案内」をたどっても、旅をしたとは言えないみたいに。
手本は、ライバルである。手本にひれ伏すか、手本に対峙するか。