見夢録: 2016年07月01日-31日

■2016年07月09日 05:55
【かけら】
(Godardについての覚書)
――『男性・女性』

若者文化、とりわけアメリカから大量に入ってくる文化、物、資本主義という消費物。
ゴダールはこれらに憧れと反発を同時に抱え持っている。そして、強い反米意識を持ちながらもそのことを押し隠そうとしない。

2016年07月09日 16:39
【かけら】
Super-string Universe sheet II, 2007.10, oil, canvas, F20(72.7 x 60.6cm)
Super-string Universe sheet II, 2007.10, oil, canvas, F20(72.7 x 60.6cm)
⇒Works

■2016年07月10日 11:19
【かけら】
(Godardについての覚書)
――『男性・女性』

1960年代はベトナム戦争の時代であり、反米思想が世界中に蔓延するが、その中でアメリカの消費文化をすでに否定してはいないのである。日本などでは、1970年代後半になってから、アメリカ文化への憧憬をおおっぴらにする文化人が輩出したのであるが。

■2016年07月12日 00:09
【かけら】
(Godardについての覚書)
――『男性・女性』

フランスの青年たちにとっても、労働運動、これから起こるパリの学生運動の蠢動、伝統的なフランス人のマルクス主義との関係、サルトルから、フーコー、バタイユなどの構造主義哲学の発生までを背景にして、コカ・コーラ文化という強烈な輸入・消費の波に洗われていく。そのような日常。

2016年07月12日 10:14
【かけら】
(Godardについての覚書)
――『男性・女性』

ポールを取り巻く少女たちは妙に客観的で、物事に深入りしない。さめていながら突き放す。それが魅力的なのは、彼女たちに生活観がないからだ。つまり、青年たちの欲望の対象、商品化された性だからなのだ。

■2016年07月13日 09:53
【かけら】
(Godardについての覚書)
――『男性・女性』

またその中では、日常は生きている人間に死と生を日常的に選択させることになる。自らのドラマを自分で選択する必要に迫られるのである。
それでも、それらは日常の背景に過ぎない。
主人公でさえ、劇的に死ぬのではなく、単なる事故に見える死を強要される。

2016年07月13日 23:36
【かけら】
(Godardについての覚書)
――『男性・女性』

いつの間にかいなくなるのである。自殺を意識していても。
ぽっかり空いた欠落。このようなときが、われわれにもあったことを思い起こさせる。
ゴダールはすでに、1960年代にその後に訪れるそのような未来の欠落感を予測していたのである。