■2016年07月23日 06:48
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『カビリアの夜』
だから、この作品はストーリーに無理がなく、観客の想像通りにすべてが運ぶ。それは、作品が凡庸であるというのではなく、監督が手馴れた題材を実直にこなして、かつ娼婦たち、裏切り、希望だとか、サーカス、音楽といういつものテーマが、安定した素材となっているからだ。
2016年07月23日 20:22
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『カビリアの夜』
『道』ではフィルムをカットしながらよくわからなくなる場面が、ここではよく整理されていると述べた。しかし、その分、あの不思議さが薄れているというのが、この作品なのだ。
とまれ、ポイントポイントはよく練られている。フェリーニの初期作品の技術的な向上ともいえるのかもしれない。
2016年07月23日 20:30
【かけら】
Super-string Scope (2/5), 2010.12, oil on canvas, M20×5(72.7 × 303cm)
⇒Works
■2016年07月25日 00:38
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『カビリアの夜』
とはいえ、それらをふたたびひっくり返して、あのごったまぜのようなフィルムの編集はすぐに復活していくのだが。
この作品自体は、そのような意味で、情緒は根をめぐらしているもののフェリーニからは最も遠い。それでも、世間的な作品の完成度から離れることで飛躍していくフェリーニ映画の、次のステップを充分予望させるものだ。
2016年07月25日 19:33
【かけら】
――『カビリアの夜』
マシーナは、独特の演技で胸に迫るが、たしかに胸を打つ表現であるのだが、観客にそれ以上を求めるものでもない。
血の涙を流したマリアはまさしく殉教のマリアであるが、観客はそれ以上に強く生きるマリア、未来への希望によって復活する人々に共感するのである。
■2016年07月26日 10:45
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『カビリアの夜』
ラストシーンでは、若者たちの一団がまるでサーカスであるかのように音楽と祝祭という形で不幸のどん底にあるマリアを包み込み、心を励ましていく。
幾度となく繰り返しても、悲惨さをなめても、否定しきった神をもまた信じようと、あらたなマリアの復活の人生はつづく。
2016年07月26日 14:26
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『8 1/2』
ジュリエッタ・マシーナへ捧げたフィルムなのだろう。すぐ後に『魂のジュリエッタ』という作品が作られるのだが。
プライベートな真実も、妄想も、回想もぶち込んだような作品。
2016年07月26日 14:50
【かけら】
Super-string Remote power: 遠隔力, 2006.8, oil, concrete panel, 90 × 180cm
⇒Works